タイチを形成する3つの要素は165年前から続く
「1.運動 2.武功 3.理論」

タイチ(太極拳)の歴史

太極拳(タイチ)の「太極」とは何か。

中国では“宇宙のすべてが太極である”と伝えられていました。 太極とは、文字通り極めて大きいものという意味です。 これが「陰」と「陽」のふたつになり、やがて8つの八卦(はっけ)になりました。人々はこの八卦によって吉凶を定め、人の行動から国家の存亡までを占う判断材料に用いられるようになりました。 この世のすべてが陰陽から成り立つと考え、これが哲学の芽生えとなったのです。

タイチの源流は、明の時代の陳式太極拳であると言われ、このころ日本は室町時代、足利義満の時代でした。 陳家溝に伝わる伝説では、村に強盗が出没した際、集落から村を守るため先祖代々の伝来で108勢通臂長拳が伝えられさらに安定した村にするため、陳トは村に武術を教える武学社を設け、子孫に教授したことが源とされています。 主な伝承者として陳氏第9代陳王廷(陳家溝周辺の守備隊長)が現役を退いた後、一族に伝わる拳術を、陰陽五行の変化原理を、愛読していた道教の経典「黄庭経」の中の呼吸法や気の理論など伝統医学の経路学説を参考にして、技撃と健身が一体となった新しい拳法として幅広く教授したと言われています。 陳王廷がタイチを教えはじめてから、その練習風景は盛んになり、老いも若き子供たちまでも広まり、集落をあげての習拳の風俗が技術向上・広範・普及へとつながったと考えらています。 現在、太極拳は世界に広がり、アメリカ・ドイツ・イタリア・フランス・オーストラリアなど競技人口が増加し英語圏では 「 TAI CHI 」の名で親しまれています。


現代タイチの基本3要素

タイチ(太極拳)と聞いてゆっくりとした不思議な動きをイメージする人は多いと思います。 イメージだけが先行してきたタイチですが、本質は「運動・武功・理論」の3要素で構成され、それらを融合することで成立した運動で体の内外が鍛えられます。 3つの要素は相関関係にあり、各要素を深く学びその繋がりを体感できたときにタイチをより理解できたと言えます。


1. 運動

タイチの運動とは「意:意識の運動」、「気:神経の巡り」、「形:手足などの身体部位の運動、内臓の運動」をさし、これらと自然の調和、呼吸が連動することがタイチの基本とされています。

【運動を構成する3つの要素「意・気・形」で構成されています】
「意」は脳から指令が発信され、体を動かす信号のようなものを言い、次に説明する「気」を動かすためになくてはならないものです。 「気」は気力の気とされ、両親から与えられた先天的な気と、空・大地・食事から与えられた後天的な気を体内に巡らせることで体を強くしていくという考え方です。 タイチでは「意」で「気」を導き、体を強くしていくと考えられています。 気が巡らないといくら体を動かしても効果につながらず、変化を実感しにくいとされています。 また「気の巡り」は体のすみずみまで張られている経路(けいらくと読み神経系を示す)を通り、内臓につながっているためその流れが悪くなると心と体のバランスが崩れて不調がおこると考えられています。 「形」とは単にポーズを作ることではなく、体の内部の運動にあたる内形(タイチの動きによる内臓マッサージ)と一般的に連想される外側の動き「外形」とで成り立ち2つがバランスよく行われることが重要とされます。 これら「意・気・形」は意の導きによって気が巡り、内形・外形が共存する動きができた時、はじめて心身の健康効果を実感されるといいます。 練習するほど手や足の動きと内部の動きが繋がっていることが感じ、内臓の動きや自分の肺の音すら聞こえるようになるそうです。

【運動にあわせた呼吸法】
タイチでは丹田呼吸と常に連動して体を動かします。深い呼吸の繰り返しによって血流が促され、脳の活性化へと導きます。 丹田はおへその4~5cm下の位置のことを指しますが、解剖学的にはそこに集中しながら深く呼吸をすることによって、腹筋・横隔膜・骨盤底筋を一気に鍛えられる場所として知られています。


2. 武功

戦闘における攻防を目的とした技法。2人で行う「推手(すいしゅ)」や1対1で行う「散手(さんしゅ)」があり、「意」に従った「気」の運動、「形」の練習をして集中力を身につけていくとされています。

【対人練習法で学ぶ円や螺旋の動き】
2つ目の要素の武功は中国伝統武術の戦闘技法を言いますが、勝ち負けではなく、タイチの動きの上達のために重要な練習方法として活用されます。 武功には「意」や「気」の精神集中力強化も含まれ、代表的な練習法が2人で手や腕を組んで行う「推手」という対人練習方法で、技をかけあうことで体の動きを学んでいきます。 技は直線ではなく円を描くように動くことを基本とし、さらに螺旋を描くことで立体的な動きをつくります。 螺旋の動きは外からの攻撃に対して正面衝突するのではなく、巻き込んで受け流し、かわしていく作用があります。 この動きはタイチ独特の戦闘理論『捨己従人』で応用され、自分を捨てて相手に従い、攻めてきた敵を迎え撃つのではなくぶつからずに引いて螺旋状に受け取り敵が引いたらそれに付いていって押すというものです。 相手の力を借りることで敵と一体化し、相手の力を吸収しながら回転させます。螺旋のパワーには、対人関係の駆け引きにも応用できる深い考え方が秘められているのです。


3. 理論

タイチは、道教の思想や儒教の教え、中国伝統医学などが融合してできています。基礎理論の1つが陰陽の理論。攻防の動きの中の押す、引く、螺旋(らせん)などの動作も、陰陽の考え方に通じています。

【伝統思想と陰陽理論】
タイチ全体を支える理論は「孔子の儒教」「中国伝統医学」「太極理論」が融合し成り立っています。 特に主立っている太極理論の陰陽思想は「相手が押してきたら自分は陰で受ける」など動作のひとつにも体でいかに陰陽を感じるかが鍵となります。 同じくタイチを行う上での精神論でも「剛と柔のバランス」が陰陽思想に基づき、硬いだけの人間ではなく、柔らかさもあるが芯が強く、両方を持ち合わせたバランスの良さが重要とされています。


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